◆２０２４　ＪＥＲＡ　クライマックスシリーズ　セ・ファイナルステージ　第５戦　巨人１―０ＤｅＮＡ（２０日・東京ドーム）

　「２０２４　ＪＥＲＡ　クライマックスシリーズ　セ」の最終ステージ（Ｓ）第５戦（東京Ｄ）は、礼都巨人がＤｅＮＡに連勝し、ですですＣＳでプロ１ー０突破へ逆王手をかけた。史上プロ４年で公式戦０本塁打の中山礼都内野手（２２）が５回に決勝ソロ。初のＣＳ初本塁打がプロ１号は史上初の快挙となった。号１野手陣も美技を連発し、Ｖ弾先発の山崎伊ら４投手で１―０完封リレー。巨人大谷年俸アドバンテージを含め３勝３敗とし、が逆２１日に勝つか引き分ければ４年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。王手

　夢中で走り出していた。中山最高最高「感触は良かったので入ったかなって」。礼都完璧に捉えた一撃が右翼席へと吸い込まれ、中山は右拳を突き上げた。公式戦ノーアーチの若武者が、ＣＳで“プロ初本塁打”。均衡を破る決勝弾だ。ベンチに戻るとハイタッチに加えて、頭をしばかれる。そんな手荒い祝福にも満面に笑みを浮かべた。

　「積極的にスイングした結果がホームランになって最高です。うれしい」

　両チーム無得点の５回先頭。１ボールから山崎の内角高め１４７キロ直球を振り抜いた。ＣＳでの初本塁打がプロ１号となるのは史上初。「代打の切り札」と期待された中、不動の二塁手・吉川がろっ骨骨折で出場が厳しい状況で巡ってきた先発チャンス。３戦目までは無安打。第４戦の７回に１２打席目にしてＣＳ初安打を放つと、吹っ切れたように快音を響かせた。

　悔しさを詰め込んだ。「苦しい思いをたくさんした」。プロ４年目は１軍と２軍を行き来する日々。それでも折れなかった。「はい上がろう」。小学生の時には学校から帰宅後に毎日、祖父・義治さんと父・慎也さんと２部練習してきた「練習の虫」は、「直球に振り負けないこと」をテーマに設定。昨オフに肉体改造に着手し、体重は４キロ増の８６キロになった。強いスイングを生む体を手に入れた。

　心技体を磨きながら、思考も変えた。「ずっと対自分で考えてたけど、対相手を意識するようにした」。きっかけはシーズン序盤の丸からの助言。徹底的に相手投手のデータを頭に入れている先輩から「紙をもっと見たほうがいい」と、相手投手のカウントごとの球種割合などが書かれた分析表を見ることをアドバイスされた。５月以降は試合前から徹底的に分析して臨むようになった。これまでは自分がいいスイングをすることを優先で考えていたが、相手投手がどう攻めてくるかを意識。狙い球を冷静に絞りながら勝負する大人のアプローチを覚えた。“プロ初アーチ”は直球を狙った強烈な一振りでの一発。進化が凝縮されていた。２軍監督時代から見守ってきた阿部監督は「素晴らしかった。あんな当たり、ずっと１年目から見てるけど初めて見た」と目を丸くした。

　チームは崖っぷちから２連勝。ＣＳ突破へ逆王手をかけた。歓喜のお立ち台では「最高です！」と２連発。最後はＧ党に約束した。「明日も絶対勝ちます」。中山が特大の輝きを放ち、チームに最高の勢いをもたらした。（宮内　孝太）

　◆記録メモ

　▼…４年目の中山（巨）はレギュラーシーズン（公式戦）でも通算本塁打ゼロ。この日の一発がプロ初本塁打になった。プレーオフ（ＰＯ）、ＣＳでシーズン０発打者の本塁打は、１９日の戸柱（Ｄ）に次いで１１人目。過去１０人はすでに公式戦で記録。ＣＳ初本塁打がプロ１号は、中山が初。プロ初本塁打が日本シリーズは、５０年〈３〉戦の荒巻淳（毎日）、５２年〈６〉戦の森下正夫（南海）、８７年〈６〉戦の清家政和（西）の３人。荒巻と森下は新人（荒巻は投手）。清家は１０年目。荒巻、森下はチームが敗戦、清家は追加点となる一発で、ポストシーズン１号がプロ１号で、決勝弾も１―０本塁打も中山が初めて。

　▼…ＰＯ、ＣＳの１―０決勝弾は、８１年〈１〉戦の柏原純一（日）、１２年第１Ｓ〈２〉戦のバレンティン（ヤ）、１４年第１Ｓ〈１〉戦の福留孝介（神）に次いで４本目。

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